中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に伴う民法の特例

この特例は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の施行(施行日平成20年10月1日)に伴い、旧代表者から後継者へ贈与された株式等について、旧代表者の推定相続人の合意に基づいて、遺留分の算定に係る「合意」を行うものをいいます。

この合意を行うためには、次にあげるすべての要件を満たす必要があります。

①旧代表者の推定相続人全員の合意
②特例合意の対象となる株式等を除いた場合に、後継者の議決権比率が過半に達しないこと
③後継者による合意対象の株式等の処分や旧代表者の生存中に後継者が代表者でなくなった場合に、後継者以外の相続人がとる措置の定めがあること

以上のすべての要件を満たす必要があります。

では、そもそも、特例合意とはどういったものでしょうか?

旧代表者から推定相続人が受けた贈与について、次にあげる遺留分に係る合意を実施することが出来ます。
①除外合意 後継者が贈与を受けた株式等を遺留分算定基礎財産から除外する
②固定合意 後継者が贈与を受けた株式等の評価額を合意時で固定する。(弁護士・公認会計士・税理士による評価額の証明が必要)
③追加合意 後継者が贈与を受けた株式等以外の財産や非後継者が贈与を受けた財産を遺留分算定基礎財産から除外する。

特例中小企業者の定義および旧代表者・後継者の要件

特例中小企業とは? 1週間以上継続して事業を行っているものとして、経済産業省令で定める要件に該当する会社

旧代表者・後継者の要件
①旧代表者とは? 特例中小企業者または現代表者であって、推定相続人に株式等を贈与したこと

②後継者の要件 特例中小企業者の代表者で議決権の過半数を保有していて、旧代表者の推定相続人であって、株式等を旧代表者からの贈与により取得した者

手続きの仕方

①この合意及び定めはすべて、後継者を含む推定相続人全員でもって、書面にて行わなくてはなりません。(合意書の作成)
②本合意がなされた場合には、合意をした日から1か月以内に、経済産業大臣に書面を提出して、合意に関する確認を受けなければなりません。
③経済産業大臣の確認を受けた後、1か月以内に家庭裁判所に合意の許可を求める申し立てをする必要があります。
④その後、家庭裁判所の許可をもって、その効果を生じます。
ただし、次の場合にはその効力が失われます。(経済産業大臣の確認が取り消された場合や、旧代表者の生存中に後継者が死亡した場合や、後見開始の審判を受けた場合や、合意者以外のものが新たに旧代表者の推定相続人となった場合や当事者の代襲者が旧代表者の養子となった場合)

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